「うちの子、ぜんぜん片付けないんですよ」
そうおっしゃる親御さんに、私は家事代行の仕事を通じてたくさん出会ってきました。
でも、そのたびに思うんです。
もしかして、お子さんはお母さん(お父さん)の背中を見ているのかもしれませんよ、と。
子どもは、言葉よりも「暮らし」を見て育つ
ある家庭でのこと。
学校から帰ってきたお子さんが、玄関でランドセルを放り投げ、水筒も床にポン。
お母さんは「ランドセルはちゃんと置き場に戻して!」「水筒はテーブルに置いて!」と注意します。
でもそのお母さん自身、
買い物袋は玄関に置きっぱなし、脱いだ服はそのまま、シンクには洗い物がたまっていて、「片付けておきます」とおっしゃっていた割れた瓶も、2週間たってもまだそのまま。
この様子を見て、私はいつも思います。
子どもだけに「片付けて」と言っても、それはなかなか難しいんじゃないかな、と。
片づけの習慣は、親から子へ、そしてまたその子へ
実はこのお母さんのお母さん——つまりお子さんのおばあちゃん——も、片づけがあまり得意ではありません。
私が以前家事代行でお邪魔していたことがあるのですが、同じように物が出しっぱなしの状態が日常でした。
そしてこのお母さんには、姉妹が2人。
3人とも、驚くほど見事に片付けが苦手なんです。
片付け方や暮らし方は、「家庭の文化」として自然に受け継がれていくんだな、と改めて感じました。
「片付けなさい」より、「一緒に片付けよう」
じゃどうすればいいのか?
それは、まず親御さん自身が日常の中で「片付ける姿」を見せることだと思います。
「ここがランドセルの定位置だよ」
「水筒は使い終わったらここに置こうね」
そんなふうに一緒にやってみるだけで、子どもにとって片付けが「特別なこと」ではなく、「いつものこと」になっていきます。
ただし、1回やったからといってすぐに身につくものではありません。
片付けは“習慣”なので、繰り返しがとても大切です。
ときにはうまくいかない日もあると思いますが、焦らず、根気強く続けていくことが何よりの近道です。
とはいえ、「口では言うけれど自分はやらない」という大人がそばにいると、やはり子どもが変わるのは難しくなります。
「一緒にやる」ことが前提だからこそ、習慣は育っていくのだと思います。
そして何より、一緒に片付ける時間は、子どもだけでなく親にとっても、マインドを整えるチャンスになるかもしれません。
私が揃えた靴が、秒でバラバラになるとき
玄関のお掃除後に、靴をきれいに揃えるのですが、お家の方たちが玄関を通ると、靴がほんの一瞬でバラバラになることもあります。
「私がいる間くらい、せめて大人だけでも気を遣って揃えてくれてもいいのにな…」と、少しやり切れなくなることもあります。
でも、そのたびに思い直します。
このご家庭にとって、“整える”という感覚は、まだ根づいていないんだなと。
だからこそ、私が整える姿を通して、少しでも「片付いていると気持ちいいな」「この状態を保ちたいな」と思ってくれるようになればいい。
そんなふうに願いながら、今日も手を動かしています。
子どもを変えたいなら、まずは大人から
片付けない子どもを責める前に、ちょっとだけ自分の暮らしを見直してみませんか?
完璧じゃなくて大丈夫。
親が変われば、子どもも変わっていきます。
そして、その変化が見られたとき——
片付けという行為に、きっと少し誇りが持てるようになると思います。
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